岩登りをしていない山屋にとって、最後の目的地はアコンカグアである、というような言葉をどこかで読んだことがありました。7千m近い標高の山ですが、ロープやピッケルを使うことなく登れるというレポートも読んでいました。2002年の冬、私は知識もなくアコンカグアへ一人で登りに行きました。しかし、5千m付近で一種の高山病となり、やむなく下山することとなってしまったのでした。2005年の冬には、前回一人で下山できなかったところからやり直すために、再びアコンカグアを訪れました。その時も、登頂はできませんでした。そして2006年の冬、まるでやり残した宿題を片付ける生徒のように、私はまた、アコンカグアに登りに行ったのです。
たくさんの方に心配と迷惑とをかけたこと、忘れません。2002年の冬、アコンカグアのニド・コンドレスで倒れていたことを、忘れません。ニドに沈む夕日、出会った人達、そして山頂。アコンカグアへの挑戦は、自分の人生の貴重な財産となりました。山にも、人にも、感謝の気持ちでいっぱいです。