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無人島のふたり

「ある日突然がんと診断され、夫とふたり、

 無人島に流されてしまったかのような日々が始まった。

 お別れの言葉は、言っても言っても言い足りないーーー。

 余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴った日記。」

 帯にそうあるとおりの、そういう本。ちょっと前に読んだ、『自転しながら公転する』が凄く面白くて、山本さんのことをちょっと気にしていたら「亡くなった」というニュースが入ってきて吃驚したのが、もう一昨年(2021年)の秋くらいのことだったか。いつどうなるのか、わからないものだなぁと、コロナ禍もあってそんなことを思っていた去年だった。山本さんの最期の日々の日記のことは聞いていて、本屋に行って、あぁこれだと思って、買ってしまった。自分だったらこんなふうに、余命宣告された自分と向き合えるかな、とか、ちょっと色々なことも考えてみた。人は必ず生を全うするのだから、自分の余命もまたあと何十年かなのだから、今を精一杯生きなくちゃなってことを思った。

 山本文緒さんのご冥福を改めてお祈りします。『自転しながら公転する』(新潮文庫)は、お薦めです。