· 

ぼくは勉強ができない

 訳あって、山田詠美を再読。『ぼくは勉強ができない』。手元にあったのはもう、25年くらい前の文庫本だけれど、あぁ、こんな話だったっけかと、読み直して、やっぱりおもしろかった。主人公のお母さんが痛快で、訳ありのクラスメイトが出てきて、嫌な教師も良い教師もいて、勉強はできなくても、お父さんはいなくても、自分の道を生きる主人公秀美くんは、けっこう楽しそうじゃんって思った。

 

 学校って、どうだったの? 学校辞めちゃうのって、どうなの? …クラスに、退学する生徒がいて、荷物も取りに来ないから、サービスで送ってあげたついでに、手紙と、山田詠美の本を送った。本なんか、読まないかな、読まないだろうな。「大人になったら、読んでください。」って、手紙に書いた。そう、わりと、大人になってから読んでみると、あぁこういう時代もあったっけなぁって、たぶん、しみじみとした気持ちになれるよ。

 

 学校を後にする君へ、前途洋々たらんことを願って。