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仁和寺と御室派のみほとけ

 国宝の、千手観音菩薩坐像を見に行ってきた。(東京国立博物館 平成館)

 連日、すごく混んでるということで、どうしようかなぁと思っていたけれど、意を決して、平日の夜、仕事を終えて上野まで行ってきた。水曜日の夜7時過ぎだったので、それほどの混雑もなく、間近で仏像を見ることができた。

 展示は、仏像だけではなく、空海が唐で書き写して持ち帰ったものとされる、国宝「三十帖冊子」(空海ほか、の筆ということで、どこからどこが空海によるものなのか、我々にはまるでわかりません。)とか、国宝「両界曼荼羅」とか、興味深いものがいくつもあったけれど、やっぱり、圧倒的な存在感を示していたのは、葛井寺の「千手観音菩薩坐像」だった。これが、平安時代に作られたものであることにも驚き。どうやって作られているのか、その解説も丁寧に展示されていて、これまた興味深かった。千本以上の手を持つ千手観音像は、これしか確認されていないということで、大変ありがたく、貴重な経験をしたと思った。

 仏像では他にも、道明寺の「十一面観音菩薩立像」が、きりっとしたお姿で大変美しく、素晴らしいものだった。こうした国宝を、一堂に会して見られるということが、そもそも大変ありがたいことであると、少し敬虔な気持ちにもなった。そのお姿は、こちらから。

 

 今回のこの特別展では、もちろん国宝を写真に撮ることは出来なかったけれど、なんと、再現された仁和寺の観音堂が撮影可ということになっていた。

 熱心に仏像を拝むことなんてない日常ではないのだけれど、どうして仏像を見に(会いに)行きたくなるのだろう。そして仏像を見て、心安らかな気持ちになる(ような気持ちになる)のは、どうしてなんだろう・・・とか思いつつ、お腹をすかせて家に帰った。