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読書の秋

 秋だから、ってこともなく、本は日常的に読んでいるんだけれど、久しぶりに読んだ本の紹介。

 本屋で、山登りへの気持ちをソワソワさせられてつい買ってきた文庫本が二冊。

 『山女日記』湊かなえ 幻冬舎文庫

 『八月の六日間』北村薫 角川文庫

 表紙が似ている。でも、表紙の絵が語るように、『山女日記』の方は、女性主人公を替えながら彼女たちが山に登る姿を描いた話。一方、 『八月の六日間』は、一人の女性主人公によるいくつかの山行の話だった。

 『山女日記』は、目指す山が替わり、登場人物が替わっていく連作だけれども、少しずつ共通点を持たせる工夫があって、読んでいて(どう繋がるのかな)というちょっとした謎解きみたいな楽しみもあった。山登りの話だけれども、やっぱり登る人の話。それぞれに人生があって、それぞれが山に向かっていく、みたいな感じ。登ったことのある山、行ったことのない場所、色々な山が紹介される。自分としては、ニュージーランドのトンガリロに行ってみたいと思った。

 『八月の六日間』は、山行を重ねて変わって(成長して?)いく女性が描かれる。彼女が選んだルートや、持ち物リスト、山で読むためにと選んだ本などが書いてあり、あ〜なるほどねぇとか、そうなんだぁとか、勝手に楽しめる。自分が登ったことのある山・登山道を思い出しながら、読み進められた。そういう意味で、やっぱり登山が好きだったら、興味深く面白い本だな。文庫本の解説に、北村薫氏が「山に登らずに書いた」ということを明かしていて、へぇ〜そうなんだと思った。

 通勤電車の中で読んだ二冊だけれど、旅に(山に)持って行ってもいいんじゃないかなと思った。