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心が痛い。

 東金の幼児殺害事件で、12月6日に容疑者が(死体遺棄容疑で)逮捕された。

 事件が起きたのは9月末のこと。幼い子が殺されて無惨な姿で遺棄されていたというショッキングな事件に、小さな子を持つ親として、幼い子へ向けられた狂気に憤りを覚えると同時に、一日も早い犯人逮捕を願っていたところだった。

 亡くなった女の子は、もっともっと生きたかったろうに・・・と思うと、ただただご冥福をお祈りするばかりである。また、親御さんの悲しみに思いを致せば、こちらも心が痛むばかりであった。

 最近こんな(力や立場の弱い者を、暴力で支配したり傷付けるという)事件ばかりだ。被害にあった子ども達は還らないだけでなく、犯人が捕まらないことも多くなった気がする。こんな事件が、起こってはならない。こんな事件を起こす社会であってはならない。そして、犯人は許せない・・・。少し前までは、そう思っていた。

 東金事件の容疑者は、養護学校の卒業生であることを知った。

 そのことは、今、特別支援学校に勤める自分にとって、二重のショックとなった。学校の関係者もそうである。今回の事件に、皆が心を痛めている。・・・痛ましい事件に怒り、憎むべき犯罪に憤りながらも、事件を未然に防げなかったことに、他人事ではなく動揺している。被害に遭われた方のことを思いながらも、容疑者の青年がなぜこのような事件を起こしてしまったかと、今さらだけれど、心痛している。

 今まで「養護学校」と呼ばれていた学校は、特別支援教育の理念のもと、2007年4月から「特別支援学校」と名称が変更された。じゃぁ、特別支援ってのは、いったい何だ。例えば、知的に障がいのある若者の住む世界を特別視し、どんどん高い壁を作って隔離することが特別支援、じゃぁないだろう。もちろん、手も足も出さずに心を痛めるだけなのも、何の支援でもあり得ないけれど。

 容疑者の青年に情状酌量を、と訴えたいわけではない。ただ同時に、「また障がい者による犯罪かよ」といった偏見を持つことも、どうかしないでいただきたい。できれば、なぜこのような事件が起きたのかを、私たちの社会の問題として、皆で真摯に考えてみたいと思った。

 東金事件のような、こんな事件が起こってはならない。こんな事件を起こす社会であってはならない。その思いは、変わらない。