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不都合な真実

 この冬の暖冬は、なんだかちょっと異常だぞ。そんなことは誰もがうすうす気付いている。暖冬だけではなく、記録的な猛暑や集中豪雨、頻繁な台風の発生など、ここのところの異常気象は尋常じゃぁない。そしてそれは世界規模で見られる現象だ。それら全てのことと、はたして地球温暖化とは関連があるのだろうか。・・・気にかけてはいるものの、はっきりとした関連性を調べ、その事実をわかりやすく発表し、では私たちは今どうすべきかと訴えた人が、これまでにどれだけいただろうか。

 この映画は、アメリカ元副大統領のアル・ゴア氏が、地球温暖化に警鐘を鳴らすべく世界各国で開いてきた(その場所は1000を越えるとか。)講演の様子をそのままドキュメンタリーにしたものだ。合間に、ゴア氏の日常や過去の出来事を振り返る部分が挿入されたりする。それで、あぁこれは、ゴアさんのためのドキュメンタリーなんだなぁとも思ったのだけれど、そのゴアさんが、人柄もおしゃべりも(さすがに大統領候補!)魅力的だった故に作品は押しつけがましくもなく、彼のお陰で優しさに溢れたドキュメンタリーになったなと思った。(「お湯に入れられたカエル」のエピソードなんかは、子供に話してあげたいところ。)

 アポロ17号が撮った、丸く、青く、美しい地球の写真に始まり、随所にちりばめられている至言にも大いに感心しつつ、ゴアさんの講義を聴講する気持ちでメモをとりながら見ていたいと思ったほどだった。そうして 最後まで見ていると、エンディングロールでは、「今、私たちにできること」が次々と挙げられていく・・・あぁ、これは覚えきれないや。中でも印象に残ったのは、アフリカのことわざ、だったかな。たぶんこんな感じだった。

「何かを祈る時は、行動もしよう。」 If You Pray, Move Your Feet.

 それで、エンディングロールに出てきた言葉達が、Webサイトなんかにまとめて載ってたりしないかなぁと、ちょっと調べたりしていて、思わぬ発見があった。それは、本家サイトと、日本のそれ(残念ながら、映画の公開終了を受けて、既に公式HPの体裁はとっていない。こういうところも商業的だなぁ。)とでは、微妙に違いがあるということだった。(そのことを的確に指摘していたブログ、「Mangiare!Cantare!Pensare!」さんと、「一輪庵」さんの記事、非常に興味深かったです。)

 日本でどんなに声高に「地球温暖化を抑制しよう!」と叫んでも、結局は大きな圧力がゆるゆると民意を操作しているということなのだろうか。どんなにしても所詮は、もう何十年もただ一つの党が政権を握っているという、世界でも珍しいお国柄だから、何も変わらないし何も変えられないということなのだろうか。

 エンディングロールにあった言葉、「温暖化問題に熱心に取り組む議員に投票しましょう。」には、ゴアさんの選挙運動か?とも思えて、むむむ、ときたけれど、「(もし誰もいないなら)自分で立候補しましょう。」の言葉には溜飲の下がる思いがしたよ。

 そう、自分で行動しなくちゃいけないんだ!

 お薦めの映画です。次の世代を担う若者にこそ、見て欲しいな。

「子供たちは、『地球を壊さないで!』と、親に言いましょう!」

 デイビス・グッゲンハイム監督作品。