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北斎展

 もの凄い人混みだぁ! と評判の、東京国立博物館での北斎展に、行ってみようかなどうしようかなと思っているうちに、もう週末日曜日(4日)には終わってしまうのだとか。でも、世界各国から500点もの北斎が東京に集結するというこのような展覧会は、史上最大規模のものでしばらくはないかもしれないとも言われているし、・・・それで、金曜日の夜だけは比較的混雑していないという情報にすがる思いで(?)、出かけてみた。

 それでも結局、入館するのに20分待ち!の人混みだった。普段だったら行列には並ばない自分なのだけれど、せっかく来たのだからということで見てきましたよ「北斎展」。

 すっごい、人だった。もとい、すっごい、作品群だった! 何が凄いって、やっぱり北斎のエネルギーというか、その有り余るほどの豊かな創造力が! 北斎、この人はいったい何者なの? というのが、ヘトヘトになって展覧会場を一回りし終えた時の感想で、なんだか北斎という人への興味関心が、今頃になってムクムクと湧いてきたのであった。

 それにしても、漫画(みたいなもの)まで描いていた人だったんだねぇ。有名な冨嶽三十六景の版画の構図が斬新なのは言うまでもないのだけれど、例えば、墨で描かれた読本挿絵なんかは躍動感に満ちあふれていて、現代のアニメーションにしても通用するんじゃないかと思うくらいだ。

 北斎作品ってそのように全然敷居の高いものではなくて、庶民の手に渡ることで全国津々浦々にその名が流通していったらしい。ところで葛飾北斎美術館館長の永田生慈氏は、小学生の時に北斎漫画に出会い、それを50円で買って楽しんでいたのだとか。永田さんはいったいいくつの人だろうと思っていたら、1951年生まれと言うから、そんなにお歳ではないよね。そういうふうに、自分の作品が、子供たちの間に普通に広まっていた時代の方が、北斎にとっては幸せだったんじゃないかなぁと、ふと思ったりもしたのだった。