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ツール・ド・美ヶ原高原自転車レース大会2003

 大会があるのは知っていたのだけれど、一人で出場するのもなぁと思っていた。と、5月に妙高高原のレースに出場して、ヒルクライムを初体験したというF原くんから、美ヶ原にも出場することになったとのメールが来た。なんと! 侍として(侍かよっ!)「私は出ます。」と言われれば、逃げるわけにもいかないではないか。ということで、その日のうちに俺はWeb上から出場登録を済ませたのだった。(って、ホントは、会いたい人がいたのだったりして。・・・)

 さて、F原くんにとっては二度目のヒルクライムレースになるわけかぁ。謙虚にも「今回も完走が目標です。」なんて言ってきた。何をおっしゃいますか。目指せ表彰台! ・・・それは無理としても、こちらは、たぶんなんとかなるだろうくらいの気持ちで、ほとんど自転車にも乗らずに、本番当日を迎えた山ヤなのであった。

 28日(土)に、 参加申込書と誓約書を大会本部に提出する受付というのがあった。1時過ぎからだからのんびり出発してもOK。松本までの運転も慣れたものだから、受付を済ませたら一度東京まで帰ろうかなぁとさえ思った。しかし、翌朝は早いしお金ももったいないのでそんなバカなことはしない。アルプス公園で野宿でもするか、くらいに考えていた。

 3時過ぎ頃には松本に着いたかな。松本市野球場の周りに車を停めて、野球場の広い駐車場が大会の受付場所になっているので、自転車に乗り換えてそちらへ移動する。受付といっても、書類を提出して、ゴールをチェックするセンサー(何て言うんだっけ?)の具合を確認して終わり。駐車場内をブラブラしてたら、F原くん、ソノエさんを発見。後から、ルミックも登場。お久しぶりです。F原くんはマウンテンバイクで出場なので、問題外だな。密かに、ソノエさん、ルミックには負けないぞ、と思っていた山ヤなのであった。「どこに泊まるの?」とみんなに心配されたけれど、テント持ってきてるからと意地を張って、また明日ということでみんなとは今日はそこでお別れした。

 本部の人に聞くと、野球場の周りの駐車スペースには、明日まで車を停めてもいいということなので、面倒だから車の中で寝ることにした。芝生があって、テント張っている人たちもいたけれどね。

 夕飯を食べに野球場の近くを歩いていて、すぐ「うとんぽ」という食堂を見つけた。あ! そこはもう10年以上前に、信州大に進学した高校時代の同級生を訪ねて何度か遊びに来た時に、よくご飯を食べに来た食堂だった。そっか、あいつが下宿してたのはこの辺かぁ。あの頃はまだ、こんな立派な野球場はなかったっけ。・・・と、少々思い出に浸ったりして、その食堂で夕食を食べたかというとそうじゃなくて、その近くのトンカツ屋で、カツ!と一人気合い入れて食事をした。(なんじゃそれ。)コンビニでビールと写ルンですとを買って車に戻り、F原くんは今頃宴会かなぁなどと思いつつ、寝るのであった。(が、夜は暑くて、なかなか眠れなかったよぉ。)

 と言うわけで、5時前には目が覚めたかな。天気は、もう少し良くなるかと思ったのだけれど、なんとかこのまま降らないでいてくれたら良しとするか。ローソンの、しょうが焼き肉弁当を朝食に食べる。選手の集合は6時半から。それまでに、まぁ、ストレッチくらいはしておこうか。下りの時用の服なんかを荷物にして出せば、先に運んでくれるそうなんだけれど、う〜ん、どうしようかな。いいや、と思って、持ち物は、写ルンですと栞(お守りみたいなもの)だけにして、あとは全部車の中に残してきた。栞は、受付の時に配られた袋の中に入っていたもので、松本市内の小学生達が、選手一人一人のために手書きで作ったものらしい。はじめ、自分の袋の中には男の子が作った栞が、ソノエさんの方には女の子のものが入っていたので、取り替えてもらっていたのだった。みやわきいずみちゃんかぁ・・・。じゃ、今日は君のために走るからね。

 

 駐車場にはゾクゾクと選手が集まり出す。F原くんには会えなかったけれど、そのうちどこかでまた会えるだろうくらいに思って、自分のスタート時刻を待った。競技は7時半のチャンピオンクラスのスタートから始まり、女子の部、一般男子の部と続く。チャンピオンクラスのスタートを近くから見ようと思って行ってみたけれど、人がいっぱいで見られなかった。なので、女子の部のスタートも近くで見るのは諦める。(が、後から聞いたのだけれど、スタート前にソノエさんの自転車がなんとパンクしてしまい、急遽タイヤを交換することになって女子の部のスタートに間に合わなくなり、ルミックと二人して男子の部のはじめの方と一緒にスタートしたのだとか。いやぁたいへんだったんだね。)

 そんなことは知らずに、こちらもそろそろ緊張のスタート。スタートラインに立っても、後ろで立ちゴケする人がいる。俺は、デローザの自転車が欲しいなぁなどと考えながら、デローザのジャージを着ている人がいると思って写真をパチリ。そして、スタートだぁ! 松本市野球場前から浅間温泉街を抜けて、美鈴湖、美ヶ原スカイライン、武石峠経由、ゴール地点の美ヶ原高原駐車場・天狗の露地までの全長21.6km(標高差1,270m)のヒルクライムレースである。

 スタートは苦手なので、後ろの方から、とりあえずコケないように走り出す。まず右へ曲がって温泉街。今度は左へ曲がると、道は細くなって、登りも一気に急になってくる。!!! 一気に急になってくるどころの騒ぎではな〜い! 初っぱなからもう、いっぱいいっぱい。しばらくはこいでいられたんだけれど、なんだよ、降りて押している人もいるじゃんって思ったらもうダメ。なにしろハンドルもふらふらして立ちゴケして迷惑かけそうだったので、そこは恥も外聞もなく自転車から降りてしまった。ぐはぁ〜。まいったな。ヒルクライムレースをかなりなめてたかも。しかし、後続の選手にどんどん抜かされるので、さすがに悔しくて再び乗車。やはり、そこが一番の急登だったようで、その後はなんとか頑張ることができた。と言っても、行けども行けども上り坂で、もう、口から心臓が出てきそう。てか、たぶん、朝のローソンしょうが焼き弁当は戻すかも、くらいな感じで、つらい登りが続いた。

 ヒルクライムレースを適当に考えていた自分は、ボトルゲージに水も用意していなかったので、3カ所の給水所は、本当にありがたかった。コップの水を受け取るのも、少々おっかなびっくりだったけれど、上手に渡してくれる大会役員の方々に感謝感謝なのでした。

 さて、半分くらいまで行くと、まだ半分かよと思う反面、なんだかもう、長期戦でもやったろぅくらいの感じになってきて(スタミナだけはあったのか。くどいようだけれど、焼き肉弁当のおかげか。)ひたすらこぐ。と、どうやらソノエさんを追い越すことができた。(一応、「お先に〜」なんて声をかけ、余裕のあるふりを装う。)後はなんとかルミックに追いつきたいと思って走っていたのだけれど、そろそろレースも終わりである。(それがゴールしてから聞いたのだけれど、実は第三給水所のところで抜かしてたんだって。気がつかなかったよぉ。)最後は、登った者へのご褒美のように下りがある。「ここからは下りですよぉ。」と、役員の人が声をかける。うひょ〜〜、てな感じで60km/hくらいのスピードで走り抜ける。が、全部下りって訳じゃなくて、ちょっぴりまた上りもあったりして、ちょっぴり泣く。そしてどうにか、ゴールインだった。

 

 ルミックが先にゴールしているものと思って、ちょっと探してみたけれどすぐに諦め、役員の人たちがトマトを配っているのをもらいに行った。うまい! 大量に汗をかいた後だったので、欲を言うと塩も欲しかったなぁ・・・なんて。いや、おいしかったです。ごちそうさま。二つも食べてしまいました。一人でいると、青年が写真を撮ってくれと言ってきたので、自分も撮ってもらった。彼は、1時間30分くらいだったとか。お疲れさま。自分は、1時間50分くらいでのゴールだった。

 その後、ルミックのジオス(ウン十万の青くて美しい自転車。)を発見。それから、ソノエさんがゴールしてきて、F原くんも無事ゴールインし、(マウンテンバイクは、スタート時刻が遅いからゴールインが遅くなったけれど、タイムは立派なものでした。お疲れッ!)ルミックとも合流して、みんなで写真を撮った。休憩所で山菜そばを食べてから、下山する。

 

 そろそろお昼で、こんなにのんびりしてから下る選手はあんまり多くはいないのだけれど、こんなに綺麗な景色を楽しまないで帰っちゃうのは、本当にもったいない。下りながら、写真を撮った。ルミックの隣で、F原くんが誇らしげに腕を上げてるのはなぜか、それは言わないでおこうか・・・。ソノエさん、かっこいい! レース中、やっぱりこけて、お尻えぐれて血が出ましたって言ってたっけ。マジっすか? 大丈夫? それって、栞を交換したせい、じゃぁないよね。-下り坂で、みんなを後ろからパチリ、のつもりがやっぱりブレブレだぁ。そしてそれで、フィルムは終わってしまった。(使い切ろうと思って、フィルム数の一番少ないのを買っちゃったから。)写ルンですじゃぁなくて、もっとちゃんとしたカメラをもってくれば良かったと思った。

 そういう訳で、レンゲツツジの写真は、F原くんから送ってもらった。撮影byソノエさん。あ、紹介が遅れましたが、二人はご夫婦なのでした。

 

  楽しい一日だった! でも、もし次、来る機会があったら、その時は俺も誰かと二人で来よっと。