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十七歳のカルテ

 ウィノナ・ライダーを見に行った。(と言うほどのファンではないのだけれど。この後やはり彼女の主演映画「オータム・イン・ニューヨーク」というのも見る。そっちは、普通のラヴストーリーって感じで、ま、きれいな映画ではあった、かな。きっと、年の離れた女の子と出かけていれば、また違った感想もあったかも。ウィノナ・ライダーは素敵だった。役作りなのか、もともとなのか、透き通るように、肌が白いんだなぁ。・・・。)

 「十七歳のカルテ」ジェームズ・マンゴールド監督作品。なかなか良かったよ。ウィノナ・ライダーが、ギターを弾いて歌を歌って、ドア越しの仲間を励ますシーンなんかは、ほのぼのと楽しく、かつ、ジーンときた。ライダーが歌ったのは、ペトゥラ・クラークという人の「恋のダウンタウン(Downtown)」。知ってる? 映画の舞台が60年代ということで、もちろんこの歌もそのころのヒット曲だとか。(クラークはこの曲で、64年度グラミー賞の、BEST ROCK AND ROLL RECORDING という賞を獲っている。)

 共演のアンジェリーナ・ジョリーも、評判どおり、迫力ある演技を見せてくれた。ゴールデングローブとアカデミーの、助演女優賞W受賞も頷けるでしょう。

 

 ところで、「十七歳のカルテ」という邦題は、どう? 「 Girl,Interrupted 」てのがもとのタイトルなんだけど。Interrupt? 辞書、引いてください。公開前は、「閉ざされた少女」って仮題だったっけ? 字幕では「躓き(つまづき)」なんて訳してたかな。「十七歳・・・」てするところに、配給会社の商業主義が見えるわけなのだけれど、かくいう俺も、まんまとこのタイトルに惹かれて、見に行ったのでした。

 この映画の話を友人にすると、「あぁそれは、黒澤の『生きものの記録』だね。」と言われた。うん。精神病院内の世界に狂気があるのか、本当に狂っているのは外の世界、つまり今私たちが生きている日常なのか。それを理解して、それでもこの現実の世界で生きていこうとした「十七歳・・・」と、黒澤が出した深刻な答えとを、単純に比べることはできないけれど、「生きもの・・・」の方も見直してみるといいかもね。